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【MLC】土地の恵みを結んだおにぎり

ーMINAKAMI LOCAL CREATORS CREATIVE ACTION. by GENRYUー


 日曜の朝7:00。水上インターから谷川岳方面へ向かう国道291号を北へ進むと、早朝にもかかわらず、地元の人や観光客で賑わうお店がある。


谷川岳の麓のおにぎりや futamimi (ふたみみ)


 この土地で育まれた“恵み”を、ひとつひとつ丁寧ににぎられた手づくりおにぎりとして味わうことのできるお店だ。


季節の旬メニュー「カリ梅ひじきおにぎり」

 futamimiの店名は、「双耳峰(そうじほう)」=ふたつのピークを持つ谷川岳に由来する。 店主は、澁澤みかさん。 東京生まれのみかさんは、ご主人との結婚を機に群馬県へ。2人のお子さんとともに、家族4人でのみなかみ生活をスタートさせたのは2018年春のこと。結婚前から、ふたりでよく谷川岳へ来ていたという澁澤ご夫妻は、愛する山の麓で暮らしたいと考え、この土地への移住を決めたのだそう。


「移住に関しては、実際のところ私が意見を挟む余地はほとんどありませんでした。主人の谷川岳愛が強すぎて...笑」

と、みかさんは笑いながら語る。ふたりを知る人であれば、誰もが目に浮かぶやりとりだろう。


この土地で出会った”お米と水”

ー おにぎりやを始めようと思ったきっかけは?

「移住してきて少し経つとこの土地に根ざした”なにか”を、自分の力でカタチにしたいなあって思うようになりました。私もすでにこの土地に魅了されていたのでしょうね。」


 移住してからはじめての冬のある朝。自宅に面した国道を眺めると北へ向かう車が渋滞していた。また周辺のコンビニへ行ってみるとおにぎりの棚が空になっている光景を目にした。スキー場や雪山登山へ向かう人たちが根こそぎ買っていたのだ。


「コンビニのおにぎりもおいしいけれど、せっかくみなかみに来てくれたなら、みなかみでしか食べられない何かを食べてもらいたいな」という思いが起業のきっかけになった。


「みなかみに住むようになって一番驚いたことが、ご飯のおいしさだった。」とみかさん。それ以前と同じ銘柄のお米をつかっても、引越し後に炊いたお米は比較にならないほど格段においしかったという。不思議に感じたみかさんが色々と調べたり試したりしてたどり着いたおいしさの答えが、“みなかみの水”だった。


「この土地のお水のおいしさを活かせる食べもの・・・って考えたら、おにぎりだったんだよね。」冬の朝に見た光景からニーズもあるとの手応えもあった。


お米と水と対話した日々

 futamimiのおにぎりを一口ほおばった瞬間、まず驚くのがその食感。適度なもっちり感でお米の一粒一粒がしっかりと舌に感じられるのだ。その秘密は、お米の炊き方にあるとみかさんはいう。futamimiでは、みなかみ町在住の米づくり名人本多義光さんが作る極上米「水月夜」を使用している。


※本多義光さんの源流を追ったGENRYU記事はこちら https://www.minakami-genryu.com/post/minazukiyo


 山へ登り頂上で、さあお昼にしようと口にしたおにぎりが最高の味と食感でなければならないと、“冷めてもおいしいお米”を探し求めていたみかさん。米どころ新潟魚沼産の極上米から日本各地のさまざまなお米を食べ比べた結果、これだ!と思ったのが奇遇にも地元みなかみ産で、日本一と称される奇跡のお米「水月夜」であった。

 もっちり艶やかな「水月夜」のおいしさを最大限活かせるよう試行錯誤を繰り返す日々。浸水時間や火加減、一度に炊くお米の量、様々な方法を試した。そして、目指すおいしさのヒントは炊飯器具にあることがわかった。



業務用の炊飯器のように効率良く大量に炊く方法ではなく、熱伝導率の高い小さな羽釜でお米を潰さないように少量ずつ炊く。炊飯時お米の芯にまで良質軟水である“みなかみの水"がしっかりと浸透する感覚だ。当然、仕込みには相応の時間がかかる。しかし、奇跡のようなお米を最高においしくいただくために僅かでも妥協はしたくない。生産者への敬意と感謝を込めて。


「おにぎりを通して、みなかみの大自然とその恵み、この土地の豊かさを知ってもらいたいのです。」


 その思いから、お米以外の具材もできるだけ町内産にこだわっている。自ら生産者のもとへ足を運び、季節ごとに地元で採れる旬の食材を仕入れている。


 開業してから一年と少し経った現在、早い時はオープン後30分足らずで完売になってしまうほどの人気店となった。聞くと、県外からもfutamimiのおにぎりを買い求めに来られるお客さんもいるのだそう。

ふたつのピークを持つ谷川岳になぞらえて、その名がつけられた「futamimi」。「夫婦ふたりのお店として、耳ふたつの谷川岳に見守られながら末長くこの土地の恵みを結んでいきたい。」 と話すみかさん。


 このまちに住む人にとって、谷川岳が見えると「ああ、帰ってきたんだな」と安心できるあの瞬間、あったかい、どこかほっとできる空気がfutamimiのお店には流れている。

 

当Tシャツ1枚販売につき1,000円を「futamimi」に支援金として還元。

MINAKAMI LOCAL CREATORS CREATIVE ACTION.

「谷川岳の麓のおにぎりや futamimi」クリエイターズTシャツ|4,500円(税込)


👇👇クリエイターズTシャツの詳細を見るにはこちらをタップ👇👇



■デザイン意図

店名の由来にもなっている谷川岳の二つのピークに因み、登山スタイルで愉しそうに翔ぶ二羽の鳥をイラストで描き起こした。山を超えてどこまでも飛んでいけという前向きなメッセージを込めている。



■クリエイター紹介

◎Maniackers Design(デザイン):国内を代表するオリジナルフォント開発の第一人者。国内各地はもとより海外からも制作オファーが絶えることのない群馬県高崎市に拠点を置くデザインスタジオ。


◎Kengo Shibusawa(ディレクション):みなかみ町在住。GENRYUプロデューサー。



 

●Information


 谷川岳のおにぎりや futamimi


 群馬県利根郡みなかみ町湯原146(カフェレストラン亜詩麻内)


下記をクリックすると「futamimi」Instagramページへ遷移します

 

文:Azusa Nakajima(GENRYU)

編集:Kengo Shibusawa(GENRYU)


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