【MLC】ビール越しにみるまちの未来
ーMINAKAMI LOCAL CREATORS CREATIVE ACTION. by GENRYUー
水上温泉街を歩いていると、窓越しに歓声と笑顔が道の方まで溢れ出てくるお店に遭遇する。
『OCTONE Brewing 』
利根川源流の水からつくられたクラフトビールのブルワリー&タップルームだ。

OCTONE(オクトワン)という店名は、「奥利根」と言われる利根川源流域にあるOCT=八百万(やおろず)の沢が、ONE=いずれ一つの川となり、そこから唯一無二のビールが生まれることに由来する。
数多のクラフトビール種の中でも群を抜くナンバーONEのおいしさであることは、みなかみ町在住の八八%くらいの人が知っている(※当編集部感覚調べ)。
昨今のクラフトビールブームにあやかって観光地で営業している地ビール店と思って無防備に一口含むと、文字通り舌を巻く。これまでのビールに対するうっま〜〜という心の叫びの飛距離が記録更新される。それほどのおいしさなのである。
ーこのおいしさの秘訣は何ですか?
「やっぱり、水だろうね。みなかみの水は特別にうまいよ。」
とブルワーの竹内康晴さん(通称ヤッさん)は答える。
このOCTONE Brewingは2018年にオープンした。元々ヤッさんは水上生まれだが、20年近く神奈川在住で都内の会社に勤務していた。
※昔の水上町は2005年の合併で現在のみなかみ町となる
「人混み、満員電車、長距離通勤...40歳くらいの時に自分の人生とよく向き合ってみたら、疑問を感じたんだよね。これでいいのかなって。」
いつかは生まれ育ったみなかみへ戻りたいという想いをずっと持っていた。みなかみの山や森が大好きで、都会で人や時間に揉まれる暮らしの中でも、心の奥底にはその原風景が常にあった。
「最後の後押しは2017年の『みなかみユネスコエコパーク登録』だった。これだと思ったよ、みなかみへ戻ろうって。」
*脚注:みなかみユネスコエコパーク登録に奮闘した立役者の起こりについては前出記事にて →記事はこちら https://www.minakami-genryu.com/post/minakami_br
モノクロームのまま心の中に眠っていた山や森の景色が、故郷へのUターンを決めた瞬間一気に豊かな色彩を帯びていく。大好きな自然環境に触れながら、これらを守り残していくことを仕事にしたいと考えた。
「見通しが甘すぎる!!と半年間毎日考え直すよう諭し続けました。笑」
冗談まじりに語るのは妻のミワさん。
「何事もやってみなければわからないだろ。」
そう応えながらも実際のところは模索を続ける日々だった。
そんな中、ヤッさんは昔から興味のあったビールづくりに着目。イギリスやドイツを訪問した時にどの街にもあった小さなブルワリー、そしてその店で愉しそうにビールと会話の両方を心底楽しむローカルたち。ブルワリーはその街のコミュニティの中心となる役割を果たしていた様子を思い出す。
自然豊かで良質な水を誇り、観光客とローカルが溶け込む街みなかみであれば、これと同じことができるんじゃないか...
会社を辞めて島根のあるブルワリーへ修行に行き、ビールづくりのいろはを一から学んだ。

こうして生まれたのがOCTONE Brewingであり、みなかみを代表するクラフトビールの銘柄たち。今やもう観光客にもローカルにも皆から愛され親しまれるオンリーONEとなった。
ビール醸造家としてのヤッさんの技術やセンスもさることながら、水をはじめとしたみなかみの豊かな自然の恵みが、クラフトビール通をも唸らせる逸品に仕立て上げているのである。
「まちのコミュニティの中心にあるブルワリー、地域と人をつなぐビール。まだまだだけども当初描いていた形が少しずつできてきたかなという手応えを感じる。」
観光の街の温泉街の中心にあるという立地からも昨年の緊急事態宣言下では想像以上の苦境に立たされつつも、地元の方に支えられたおかげで乗り越えられた。まだまだ見通しは明るいわけではないが、地域のブルワリーとしてやれることはたくさんあるとヤッさんはいう。
「みなかみならではの特徴を活かしたビールをつくっていきたい。」
と、ローカルブルワリーの未来を語る。
近隣の遊休農地におけるビール原料となるホップづくり、上越線土合駅地下ホームでのビール貯蔵、また土合駅を会場とした全国各地のブルワリーが参加するビアフェスイベントの開催など、みなかみの特徴を活かしまくった数々の企画が進行中だ。
当Tシャツ1枚販売につき1,000円を「OCTONE Brewing」に支援金として寄付。


MINAKAMI LOCAL CREATORS CREATIVE ACTION.
「OCTONE Brewing」クリエイターズTシャツ|4,500円(税込)
ミナカミローカルクリエイターズのちゃやみなみがリズミカル且つポップなイラストで、ヤッさんのビールづくりの様子を表現。
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■デザイン意図
ビール片手に会話に花の咲くタップルーム、ガラス窓の向こうでは酵母がリズムを奏でるようにポコポコと音をたてて発酵し今まさにビールが作られている様子をオルゴールに見立ててデザインしました。酵母の奏でるリズムに合わせて思わず体を揺らしたくなります。
■クリエイター紹介
◎ちゃやみなみ:世界の無駄を増やすハイパータマニクリエイター。水上温泉街付近在住。 [WEB]https://chayaminami.work/

●Information
OCTONE Brewing(オクトワンブルーイング)
群馬県利根郡みなかみ町湯原702-2
https://oct-1.com/
下記をクリックすると「OCTONE Brewing」Instagramページへ遷移します
文・編集:Kengo Shibusawa(GENRYU)