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【GENRYU】魅せられた谷川岳、その魅力を伝える人になりたい


谷川岳インフォメーションセンター外観
谷川岳インフォメーションセンター展示室

 土合駅が面する国道291号を北へ数分上がったところに「谷川岳インフォメーションセンター」がこの6月にオープン(※5月下旬オープンの予定であったが感染症拡大により延期となった)。当施設は、世界的に見ても稀で貴重な自然環境を有する名峰「谷川岳」の魅力を余すことなく伝えるために環境省とみなかみ町役場が主管となり運営管理を行う情報発信拠点である。今回の“源流探訪”は、北海道を経由し神奈川からやってきた一人の案内スタッフの起こりを訪ねてみたい。


「谷川岳インフォメーションセンター」案内スタッフ 小柳奈々恵さん

「ひとめぼれ…してしまいました、谷川岳とこのまちに。


 神奈川で生まれ育った小柳さんは幼い頃から興味のあった森に関する学びを得たいと岩手の大学に進学し森林科学を専攻。ワンゲル部に所属し東北の山々を歩く。卒業後は木材の専門商社に就職し、札幌の事業所に勤務していた。森で育った木が製材され建築の現場へ出荷されるまでを管理する仕事であった。仕事も楽しく職場の同僚にも恵まれ、順風満帆の社会人生活であったが、3年ほど経ち営業マンとして独り立ちし始めた頃、やり甲斐を感じつつも同時に言いようのない違和感を抱くようになった。 扱う商材こそ木材であったため自然との接点はあったが、売上や原価といった数字に目まぐるし追われる日々の中で、自然環境にとって本当に大切なことは損得では計れないのではないか…と。それは、やりたいことと違うとか自分探しのためであるとか新社会人にありがちな表面的なものではなく、目の前の仕事へ真剣に取り組んだからこそ見えてきた次なるステップに近しいもの。小学生の頃から思い浮かべていたのは“森の中に身を置き、森の価値を世に送り出す”そんな自分の姿であった。


 なんとなく移住促進に関するWEBサイトをいくつか眺めていたとき「移住に向けた視察時のレンタカー無料」と書かれたみなかみ町が発信していた情報が目に留まる。 

*参照ページ:「みなかみ町移住・テレワークに係るレンタカー借上料補助金」

「旅行がてら行ってみようかな」

 当初はそれくらい軽い気持ちで群馬県みなかみ町へ生まれてはじめて足を踏み入れることになったが、その時目にしたみなかみの豊かな自然と月夜野地区から眺める真っ白な雪壁の谷川岳のあるまちの風景が脳裏に焼き付き、日常生活に戻ってもその情景が離れることがなかった。


 それから時を経ずして一週間後に退職と移住を決意した。その後の怒涛の業務引き継ぎは、みなかみの美しい景色を思い出しながら頑張ったという。

 タイミングもよかった。2020年の暮れにこのまちへ視察でやってきたが、この時ちょうど「谷川岳インフォメーションセンター」オープンに向けて、立ち上げとオープン後の案内要員として地域おこし協力隊の募集が出ていた。即決し、応募。晴れて採用となり現在に至る。

「毎日が、とても楽しいです。ちょっとした近所の散歩の充実感が大きいんです(笑)」

豊かな森と山に囲まれたみなかみの水は小柳さんの肌に合った。

「いま思うと、これほどみなかみを好きになった背景には、みなかみで会う人が魅力的でその人たちが皆、みなかみが好きと言っていたことが大きかったように思います。」

「まだまだ勉強中ですけど、大好きな谷川岳の魅力をたくさん紹介したい。


 「谷川岳インフォメーションセンター」は、谷川連峰の特異な地形や地質と多様な自然環境や生態系をわかりやすく紹介する展示パネルのほか、山々の上空を旋回する森の王者イヌワシの視点や日本三大岩場に数えられる一ノ倉沢の大岩壁を登攀するロッククライミングの視点を体験できるVR設備があるなど、谷川岳ファンもこれまでそうでなかった方も学びとエンターテイメントを兼ね備えたインフォメーション施設である。

 小柳さんはここで主に来館者へ施設のご案内を行う。まさに思い描いていた、森の中に身を置き森の価値を伝える仕事だ。仕事がオフの日には周辺の山や川辺を歩き草木や花について学び、山岳ガイドの視察に同伴しては特有の地形や気象について学ぶ予定であるという。

ーみなかみでやってみたいことは何ですか?


 バンジージャンプに挑戦してみたいです。諏訪峡大橋を通る際、橋から川底目掛けて飛んでる人を見ると大きな畏怖とともに羨望の眼差しを送ってしまいます。刺激的なものには挑みたくなってしまう性分なんです(笑)



●Information

 

谷川岳インフォメーションセンター

Tanigawadake Information Center


所在地 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽字湯吹山地内

開館日 通年(年末年始・11 月中旬~5 月下旬平日等休館日有)

開館時間 9:00~16:00(11 月中旬~5 月下旬 10:00~15:00)

運営体制

 運営|谷川岳エコツーリズム推進協議会

 施設保守|環境省信越自然環境事務所、みなかみ町


 

文・編集:Kengo Shibusawa  写真:Azusa Nakajima

取材日 4/28

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